異常超伝導近傍に潜む複数の異常電子状態を識別

 強相関超伝導体におけるキャリア密度の制御は、凝縮系物理学における長年の課題です。今回我々は、重い電子系超伝導体CeCo1-xNixIn5に対してホール効果測定を行うことにより、Ni置換によって電子キャリア密度が連続的に増加する振る舞いを捉えました。それと同時に、非従来型超伝導近傍で出現する2つの異なる異常な輸送応答が、Ni置換により分離されることを明らかにしました。これらの異常輸送応答は、異常超伝導特性と関連している可能性があり、イオン置換により輸送応答が著しく変化することは、それぞれのメカニズムが根本的に異なることを示唆しています。これらの結果は、制御されたキャリア密度によってCeCoIn5における複数の異常輸送状態を分離できることを示しており、量子臨界超伝導を研究するための新たな道筋を提供するものです。

 これらの研究成果は、アメリカ物理学会が発行するPhysical Review B誌に以下の論文として出版されました。


R. Koizumi, H. Fujimoto, T. Takahashi, A. Yashiro, H. Kawakami, K. Ishii, H. Kosaka, T. Hasegawa, Y. Shimizu, A. Nakamura, D. Aoki, K. Tenya, and M. Yokoyama:
"Carrier-doping effect and anomalous transport properties in Ni-doped CeCoIn5 investigated by Hall resistivity measurements",
Physical Review B 113, 224514-1-10 (2026).

* 下線は研究室所属メンバー

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