エキゾチック超伝導体CeCoIn5における量子臨界異常の起源を探求

 エキゾチック超伝導体のプロトタイプ物質CeCoIn5で見られる量子臨界異常は、この系の異常な超伝導物性に対し主要な役割を果たしていると考えられますが、その起源となる秩序変数はまだ同定されていません。私たちは今回、この系に亜鉛イオンを混入すると、超伝導の臨界磁場以上の磁場領域で不均一な反強磁性秩序相が徐々に誘起されることを明らかにしました。その際、反強磁性秩序の臨界磁場においては、量子臨界性の特徴ともいえる、絶対零度へ向けて比熱の対数発散の振舞いが見られます。これらのことは、CeCoIn5に内在する量子臨界性は、亜鉛イオンを混入した系で発現する磁場誘起反強磁性相の秩序変数に由来する確かな証拠と考えられます。

 これらの研究成果は、アメリカ物理学会が発行するPhysical Review B誌に以下の論文として掲載されました。


M. Yokoyama, Y. Honma, Y. Oshima, Rahmanto, K. Suzuki, K. Tenya, Y. Shimizu, D. Aoki, A. Matsuo, K. Kindo, S. Nakamura, Y. Kono, S. Kittaka, and T. Sakakibara:
"Nature of field-induced antiferromagnetic order in Zn-doped CeCoIn5 and its connection to quantum criticality in the pure compound",
Physical Review B 105, 054515 (2022).

* 下線は研究室所属メンバー

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