異方的な量子臨界揺らぎと超伝導秩序の密接なつながり

 重い電子系物質CeCoIn5では、様々な異常物性を示す超伝導秩序相が現れ、その発現には量子臨界現象が関与していることが示唆されています。しかし、超伝導の存在によって低磁場領域での量子臨界現象が隠されてしまうため、超伝導の発現における量子臨界揺らぎの役割はまだ明らかになっていません。この系において、私たちはニッケル(Ni)を混入して超伝導を抑制・消失させることで、量子臨界揺らぎの性質を調べることが可能になることに注目しました。そこで今回、私たちはCeCoIn5にNiを混入させた系における精密な磁化、比熱測定を行い、正方晶の結晶構造の対称性と関連した量子臨界揺らぎの顕著な異方性を明らかにしました。この異方性は、CeCoIn5の超伝導相でみられる異方性と非常に類似しています。特に、CeCoIn5の超伝導相の上部臨界磁場の異方性や、Ising的なスピンによる磁気励起との類似性が量子臨界揺らぎで観測されたことは重要な発見です。この発見から、CeCoIn5の超伝導の発現には量子臨界揺らぎが密接に関わっていることが示唆されます。

 これらの研究成果は、アメリカ物理学会が発行するPhysical Review B誌に以下の論文として出版されました。


M. Yokoyama, K. Suzuki, K. Tenya, S. Nakamura, Y. Kono, S. Kittaka, and T. Sakakibara:
"Anisotropic magnetic-field response of quantum critical fluctuations in Ni-doped CeCoIn5",
Physical Review B 99, 054506-1-6 (2019).

* 下線は研究室所属メンバー

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